龍馬はなぜ寺田屋遭難時に弾装を落としたのか?  2009/06/14 up 

 映画などの寺田屋遭難の場面で、龍馬がピストルを扱いかねていることをよくコミカルに描かれています。龍馬は当時、「S&Wモデル2アーミー」というピストルを所持していました。私は子供のころからモデルガンなどにあまり興味がない方ので、「S&Wモデル2アーミー」を30歳を過ぎてから入手したのが最初の一つでした。それまでは「なんで龍馬は寺田屋遭難時に弾装(シリンダー)を落としたのか?」が良く解りませんでした。



 まず、実際に龍馬が書いた手紙の内容です。

龍馬が兄である権平(と周りの人)にあてた手紙から
慶応2年12月4日 [坂本権平、一同あて]

此間に銃の玉込ミせんと銃の此様なるもの取りはづし、二丸迄ハ込たれども先刻左右の指に手を負ひ、手先き思ふ様ならず、阿屋まりて右玉室を取り落としたり。


 「竜馬がゆく」での場面は次のように書かれております。

「怒涛篇」の「伏見寺田屋」より
「ちょうりんぼう(馬鹿め!)」
 と、竜馬は上機嫌でわめいたが、そのときすでに左手の親指に傷をうけていたのであろう。銃身で受けはしたが、刃がざくりと親指に切り込んだにちがいない。
(指からもこれほど血が出るものか)
 とおほうほどに弾の装点をしていても血がどんどん流れて、短銃、弾、部品が濡れ、思うように操作できない。それに左手の親指がきかないため、右手まで、こまかい作業を受け付けないのである。
 ついに竜馬は、掌のうちから、ぬるりと蓮根型の部分を取りおとした。

 この様に、玉室・蓮根型の部分(弾装・シリンダーのこと)を落としてます。

 弾装はそんなに簡単に落ちるのでしょうか。。。。

 S&Wモデル2アーミーは、西部劇でよく見かけるものとは少々違うのです。弾装が簡単に落ちるんです。
この画像は「お〜い!竜馬」で寺田屋遭難の時、指を怪我していることに気づいた場面ですが、銃身が真っ直ぐ(通常の銃なら普通だが)になっており、シリンダーが横にスライドしてます。これが間違いなのです。

ここで次の動画をご覧ください。



 どうでしょう。
 「S&Wモデル2アーミー」は銃身を上に持ち上げ、シリンダーを取り外してからでないと弾丸を入れ替えることができないのです。
 暗闇の中、指をけがして、血だらけで手でこの銃を操作するのは相当やっかいなことだったのではないでしょうか。




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