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 世界の海援隊 2000/12/10 up 

 維新間際、龍馬が新政府の構想を西郷隆盛に見せたところ、その名簿に龍馬自身の名前が載っていなかった。西郷が「土佐から出るはずの貴殿の名がないのはどうしてか」と尋ねたところ、「自分は役人が嫌いだ」と答えた。「役人にならないでどんな仕事をするつもりか」との西郷の問いに「そうだな、世界の海援隊でもやりますか」と言ったというエピソードがある。本当だろうか?



 近江屋に移った龍馬は尾崎三良とともに、関白一名、議奏若干名、参議若干名からなる職制案をまとめた。これが「新官制擬定書」である。『尾崎三良手扣』に記される新官制擬定書の参議の項には、以下のようにある。

一、参議 若干名
 公卿、諸侯、大夫、士庶人をもってこれに充つ。大政に参与し、かねて諸官の次官を分掌す
 (暗に小松、西郷、大久保、木戸、後藤、坂本、三岡八郎、横井、長岡良之助などをもってこれに擬す)


 「坂本」の名前があるのだ。つまり、龍馬は尾崎と職制案の協議において、自分が参議となることを了承しているのだった。 したがって、龍馬と西郷の問答もあるはずはなく、当然「世界の海援隊でもやらんかな」という発言もありえないのである。
 このエピソードは、お龍の回顧から生まれたものと思われる。
 『千里駒後日譚』には、龍馬が「一戦争済めば山中へ這入って安楽に暮らすつもり、役人になるのはおれは否じゃ」と語ったとされ、また、『反魂香』には「天下鎮静して、王政復古の暁には、汽船を一隻造えて日本の沿岸を廻ってみようか」という龍馬に、お龍「日本はおろか、外国の隅々まで残らず廻ってみとうございます」という。

参考文献:龍馬 最後の真実  菊池明著 筑摩書房



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